エッセイの泉　(no.1)

父は「女なんだから高学歴なんかいらない！　高校卒業したら働け！　本当は高校だって必要ない！」って言うのが口癖だった。それが嫌で嫌でどうしようもなかった。時々、胸が苦しくなって夕暮れの公園へ行っては泣いた。

先日、父親になった弟が、甥と姪の進路について本人たちの自由に決めさせていると言った。弟よ、君は優しい父親になったんだねと思った。この春、甥は高校へ、そして姪は専門学校でそれぞれ進学した。きっとこれは父のお陰なんだなあ。