アメリカ生活 エッセイ

アメリカ生活から学んだこと(その1)

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1997年5月だった。私は意を決してアメリカへ短期留学することにした。そう決めたのは、マスメディア志望だった自分の目標を叶えたかったからだった。勤めていた証券会社を辞め、副業でケーブルラジオのパーソナリティーをしていたが、本当に自分がマイクやカメラの前で人のために役立つのか疑問を持ち始めていた。ただチヤホヤされたり、注目の的になりたいだけなんじゃないかと何度も自分を疑ったりもした。

 

20代半ばだった私は、年々若さと引き換えに年齢を重ねていく現実を受け止め、20年後、30年後の自分を想像してみた。急に全身に鳥肌が立ったのが分かった。このまま何もせず、50代、60代になっていくなんて耐えられないと思った。想像できない未来に不安が募るばかり。それでも自分の進むべき道は行動しなければ見えてこないことも感覚的に理解していた。そんな自分に質問してみた。

このままでいいの?
今の仕事は好き?
今の人生に満足している?
やりたいことやってる? このまま年をとっても後悔しない?

 

答えは全部、「No!」だった。そして当時所属していた事務所によく言われた英会話くらいできないとダメよ、とういう言葉がいつも私を追い立てた。あの頃、偶然にも身近にいた友人の半分以上が留学経験があり、会うたびに面白い話を聞かされていた。大いに学び、国籍に関係なく何度も誰かを好きになり、何度も恋に落ちた。楽しそうに留学経験を語る友人が羨ましかった。何よりも彼女たちは堂々としていて、リスクを恐れない強さと確固たる自信を蓄えていた。ついに私は短期留学することを考えるようになった。

 

初めての海外生活はアメリカ西海岸のサンタモニカでスタートした。なんと独り暮らしも生まれて初めてだった。無知過ぎて苦難の連続だった。最初の1ヵ月は異文化に圧倒されて、不安で不安でしょうがなかった。漠然とした恐れや孤独感に押し潰されそうになってはよく泣いた。

(つづく)

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